「「キミに…」」 (梓&由浩)




シニアでは上位打線をもらっていたけど、

高校レベルは違った。



1年の夏から

メンバーには入れてもらった。

でも何もできなかった。

声出ししかできなかった。

県大会で1,2回

伝令として使われただけ。

スコアは3年の先輩マネージャーが

書いてて声出ししかできなかった1年。



そこから頑張った。

2年生を抜かそうって思った。

遠慮してたら、

俺はこの3年間

何もしないで終わりそうだと思った。



先輩に自ら訊いて、

監督にも訊いて、

練習中にも声を出した。





そのときに手伝ってくれたのが

梓だった。


1年のとき、

甲子園に出て3回戦で逆転負けした。

空を見上げて泣く梓の姿が痛々しかった。

たった半年しか関わっていないのに、

あんなに泣けるのはきっと、

先輩もタメも、

関係無しに深く関わっているから。

そんな梓のことが理解できたのは、

2年の時。





居残りしてスイングの練習をするのが

習慣になっていた。


梓は毎日ボールの手入れをしていて、

俺はその近くで練習をしていた。

ときどき緩いボールを出してもらって

捕球の練習もしたりした。



いっつも

「もぅ9時だぞ帰れよ」

「でもヒロが練習してるじゃん」

そぅ言い合っていた。

その後にはいっつも

「それに家近いし」

って言って笑う。



だからその代わりに俺は

飲み物をあげて家の近くまで送った。

そこから走って寮に戻って

10分で風呂上がってすぐに飯食って

最低限の宿題を同部屋の奴として

必ず7時間寝て1日が終わる。

そんな毎日をしていた。






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