「「キミに…」」 (梓&由浩)




雅也先輩は無事卒業して、

3年生になった。


春の選抜から梓がベンチに入って

スコアを書くようになった。


県大会でも梓のデータは

凄くためになって選手と同じ視点の梓は

俺ら野球部の中では

『アイドル』じゃなくて『仲間』だった。



春の甲子園でもそのデータは役に立って、

4強入りした。



8のときに8回ビハインド。

先行で負けてるとかなりキツイ。

でも梓が声を荒げて応援していて、

俺も応援していて、

最後にタイムリーで勝ち越し。

逆転勝ちでベスト4になれた。









夏の甲子園も同じだ。


春に甲子園に出場した高校は、

夏に帰ってくるのが難しい。

それは他の高校より

データが流出しているからだ。

それでも勝てたのは、

梓のお陰であり、

他のベンチ入りした奴らのお陰であり、

アルプスのみんなのお陰であり、

今まで俺に関わってきたみんなのお陰。



甲子園で負けて、

梓は俺らと一緒に大きな声を出して

顔をクシャクシャにして

泣いた。








泣いて泣いて、

喉がガラガラになって、

目の周りが痛くなって、

胸が痛くて、

でも少しスッキリした胸で、



1年ぶりに会った

父さんと母さんに、

『今までありがとう』

っと言うと父さんと母さんも泣いた。







夏の甲子園が終わって、

梓に告白した。


「好きだ。 梓のこと…。」



丁度3年前の俺が、

梓に言った言葉。


今でもその言葉に変わりは無い。





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