「「キミに…」」 (梓&由浩)
「ヒロ…」
―――――…ピンポーン♪
こんな時間に誰だろって思った。
その次は『もしかしてヒロかな』
っていう期待。
でも違ったら嫌だから違うと思った。
―――…ガチャ
「…はぃ」
顔を上げるとトレーナーを着ているヒロがいた。
「………ヒロ…」
「………久しぶり…」
本当に久しぶりだよ。
丸々1ヶ月は会ってないんだよ??
でも―――…
「ヒロ明日も試合でしょ??
早く帰らないと……」
苦笑いをしながら言った。
顔も見れなかった。
「それに寮って門限ぁるんで、しょ??
早く帰らなぃ、と……」
せっかくヒロが会いに来てくれたのに、
元マネージャーだからかな??
ヒロが心配で、気をつかってしまう。
「………梓…」
久しぶりに聞いたヒロの声に震えた。
低くて逞しい声は
聞くだけでもドキドキしてしまう。
「………。」
そんなあたしを見てヒロは何も言わなかった。
でも
「お邪魔します」
勝手に部屋に入ってきた。
「なっちょッッ!!」
「へー前来たときと変わってる」
「あヨシ!! 久しぶりー」
「よッス」
「雅也先輩は?」
「拓巳とビール買いに行って
まだ帰ってきてないよ」
「あの酒好き野郎;;」
「誰が酒好き野郎だ」
「!? 雅也先輩…いたんスか;;」
「いました」
後ろにはムスッとした拓巳がいた。
「コイツは気にすんな(笑)」
久しぶりにヒロに会って、
久しぶりにヒロがみんなと話してるのを見て
夢じゃないんだって思って泣けた。