「「キミに…」」 (梓&由浩)
ゲームセット
新垣梓
いつものヒロのお辞儀。
その意味は随分前に聞いた。
その行動と理由はヒロらしい。
そんなヒロがあたしは大好きなんだ。
「……試合終わっちゃった……」
試合中のヒロはかっこいい。
守備でアウトを取れると
満面の笑顔が見れる。
目を狐みたいに細くして、
真っ白な歯を見せて、
目の横と鼻に皺を作って、
頬を上げるヒロの笑顔が大好きで、
会えない分、
ヒロの笑顔を見たくて…
試合中はヒロから目が離せなくなる。
「今日も凄かったなヨシ」
「打率チーム内3位だって」
「スゲー
こりゃ全日本代表メンバー入るかもな」
「「「「「………。」」」」」
「ぅえっ;; まぁまだ3年目だし、
怪我するかもだしッッ;;」
「「「「「…………。」」」」」
「〜〜〜ッッ!! 梓!!」
いきなり大きな声で呼ばれてビックリした。
「俺は思ったこと言ったんだ。
梓のためじゃないし誰のためでもない。
俺はヨシを『1人の野球選手』
として見て言ったんだ。
………それに…、
ヨシと会えないで淋しくて辛いなら
付き合わないほうがいいと思う。」