-sad and painful-
え、完全にこれ滑ったの?
ならせめてフォローくらいして欲しい。
「へえー琉加ちゃんね。
咲ちゃんの友達?」
「はいっ大親友です!!
とりあえずよろしくお願いします」
「とりあえずって」
はやくも楢崎さんと打ち解けたらしい琉加は楽しそうに談笑している。
やっぱり琉加の対人能力は凄すぎる。
人見知りしない人の特権だよね。
「ほら咲も〜!!」
「あ、うん」
それからしばらく楽しく会話した。
学校の話とか楢崎さんの失敗談とか。
別に何てことない世間話だったけど楽しかった。
「んでねっ楢崎さん!!」
「会話遮って悪いけど、俺に何か用事あったんじゃねえの?」
「用事…?」
私と琉加はしばらく首を傾げていた。
そういえば私達、何か大事な用事が…
「ほあああっ!!貴のことっ」
「ああっそうだよ!!貴くんのこと聞くはずだったんだよ!!」
「2人して忘れてたのか…」
話に夢中になってて目的を忘れてた。
自分でもビックリするくらいキレイさっぱり。
「あの。楢崎さんが貴を知ってるかもって言ってたから。
詳しく話を聞きたいなって思って…」
「それで来たわけか」
「そうです」
「まあ俺も何か気になっててさ。ここまで出てんのにな」
楢崎さんは首もとに手を持ってきて笑った。
「そうだ。実家なら俺の学生時代のアルバムとかあるだろうし来るか?」
「えぇえっ」
「俺も気になるしこの際ならとことん付き合うし」
「本当ですかっ!?よかったね咲!!」
「あの…本当に良いんですか?」
「明日なら予定あけられるし、お前らも日曜ならいけるだろ?」
「じゃあお願いしますっ」
思わぬ形で仲間をゲットしてしまった。
しかも貴を知っているかもしれない人で。
貴が見つかるかもしれない。
そんな根拠のない期待を持てた。