-sad and painful-
日曜日。
私達は本当に楢崎さんの実家に来てしまった。
「親は海外旅行だから遠慮せずあがれよ」
「じゃあ遠慮なくおじゃましまーす!!」
「お、お邪魔します」
ここまで対極的な反応なんて。
まあ私も時々、暴走しちゃうけど。
楢崎さんと初めて会った時とか。
思い出すと恥ずかしくなってきた…
木造の二階建てという少し古き代表の家。
まさに楢崎さんが育った感じがする。
どうやら二階に部屋があるらしく階段まで案内された。
「俺の部屋、階段上がってすぐ右だから。
とりあえず先行ってろ、何かあるか探してきてやるから」
「あっお茶菓子だなんてお構い無く!!和菓子も洋菓子も大好きですから」
「ああ、はいはい」
相変わらずの琉加節炸裂…
今に始まったことではないからか楢崎さんも軽くあしらっている。
早くも琉加の扱いを熟知したらしい。
「行こ、咲」
「そだね」
楢崎さんは行ってしまったらしい。
私達もとりあえず階段を上がって部屋に入った。
中はシンプルと言えば響きはいいけど殺風景。
いかにも男の子の部屋って感じだ。
たぶんマメに掃除するからなのか思ったより綺麗だ。
楢崎さんが掃除するなんて想像できないし…
たぶんお母さんがやってるのかな。
「ねえねえっアルバム見るために来たんだよね!?」
「え?そうだけど…」
「じゃあここにあるかもじゃん。
押し入れにしまってないかもしれないし」
「る…琉加?」
「というわけでアルバム探そう!!」
「ちょっダメだって」
すっかり楽しんでいる様子の琉加。
そっか、意外にもお金持ちだもんね。
木造建ての家が珍しいのかな?
「絶対に何か見られたくなさそう恥ずかしい奴ないかな?」
前言撤回。
ただ無邪気を装った腹黒だ。
「あっ本当にあった」
「え?」
「楢崎さんのアルバム」
本当に見つけたらしく手にはアルバムを持ってた。
開くことがないのか新品に近い。
「待たせたなーって。勝手に漁ったのか」
「すみませんっあの…」
「でもお目当てはありましたよ!!」
「まじか。じゃあ問題ないな」
楢崎さんは心の広い人だった。
部屋を漁られてもさして気にしてない。
まあ殺風景だし何もない部屋だからかな。
ああ、今のはさすがに失礼か。
「確か隣のクラスだった気が…」
「とにかくアルバム見ればいいと思います」
「咲ちゃんって地味にSだな」
「え?何でですか?」
「たぶん楢崎さんがMなだけですよー」
笑いながら楢崎さんをからかう琉加。
楢崎さんはその相手を始めた。
そんな二人に挟まれている状態で
私はアルバムをめくった。