【短編】 ききたいこと
メールの最後に添付された画像には細かく説明を加えた途中式が載っていて、そして、それがあまりに丁寧な字で書かれていて、嬉しいとか好きとかいう気持ち以上にまず、感動した。
どれだけいい人なんだろうと思う。
こんなに親切で優しい人間がいていいのだろうか。
夕刻、自分のした愚かな行為を思い出し、忘れかけていた罪悪感が鋭い刃となってよみがえり、胸に突き刺さる。
どうしても、どうしても先生に近づきたくて、ただのその一心で―――思わず手を出してしまった。
今さらになって、後悔の念に駆られる。
……壁を薄くしたいなら、なにをしても許されるの? どんな手段も許されるの?
そうじゃないでしょ。
そんなことが、あっていいはずがないんだよ。私は自分自身に首を振った。
―――私は、過ちを犯したんだ。