【短編】 ききたいこと
先生に近づけるよう、彼にふさわしい人になろうと決意したものの、
"すこしでもいいから先生と繋がっていたい"
と、欲に負けてしまった弱い私は先生とのメールを止めることが出来なかった。
だけど、ちゃんと返事をかえしてくれる先生も、悪い……と思う。
あんなに丁寧に説明してくれたら、あんなに優しくしてくれたら、離れたいと思うほうが嘘だ。
週二回だけでいい。メールのやり取りが一回で終わってもいい。
二人だけで繋がっていられる時間が欲しい。
授業中は私は担当クラスの一生徒に過ぎなくて。それは、メールをしている間もきっと一緒だけれど、私のためだけにノートを作ってくれて、私のためだけにメールを送ってくれる。
私のためだけ。
私がメールを待ってる間、先生は頭を使ってくれて、その時間、先生は私だけを思ってくれている。
……なんて、思い上がりも甚だしいけれど、だけど、ちょっとはそんな時間もあると思うのだ。
どう書けば佐々倉に伝わるのかなぁ、とアゴにシャーペンをあてて悩む先生が思い浮かぶ。
それだけで、いつどんなときでもテンションはマックスに達する。頬が緩んでだらしない。
「―――おい、佐々倉」