【短編】 ききたいこと
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その日の夜。
普段より早めの就寝を決めて布団に潜り込んだ私を無慈悲にも覚醒させたのは携帯の着信音だった。
誰だろうと携帯を開いて、飛び起きた。
ディスプレイに光った名前は、まさかの先生だったのだ。
私は何度か喉を鳴らし、まだ睡眠が浅かったせいかそれほど声が乾いていないことを確認すると一度深呼吸をしてから電話に出た。
「も、もしもし」
「あ、佐々倉。悪いな、こんな遅くに……今ちょっといいか」
「はい……なんでしょうか」
今日はいったいどうしたことだろう。
試験は完璧だったし、帰り際先生と出くわしたし、さらに夜には電話まで―――。
確認してはいないけれど、私の今日の運勢はどうにも絶好調らしい。
こんなに運を使ってしまっては明日が心配でしょうがないのだが。
「佐々倉、おまえ、学校でなんかあったのか……?」
「え……どうして、ですか」
ひどく心配そうな声音の先生に、私は素で驚いた。
なぜそのような質問をされるのだろう?