【短編】 ききたいこと
Ⅳ-Ⅲ
*
「約束したよね? 私の約束、覚えてるよね?」
「し、したわ確かに……。だけど、どうしてもやめなきゃいけないの? これからも通い続ければ次こそ1番を取れるかも知れないのよ?」
「覚えてるのね。だったら明日、退会手続きに行くから準備しておいてよ」
「ゆ、ゆう……だからあのね」
「それじゃ私、疲れたから夕飯まで部屋にいるから。出来たら呼んでね!」
母親の言うことをまるで聞かず私は階段を上がった。
制服にシワがつくことも厭わずベッドに寝転がり、配布された通信簿を眺める。
誇らしく輝く一桁の数字についつい頬がゆるんでしまう―――けれど、いまは大目に見ることにする。
だって、紛れもなくこれはがんばった成果なのだから。
いま、自分で自分を褒めずどこで褒めればいいのだ?
今日ぐらいだらしなくしたって、罰は当たらないだろう。
額に通信簿を押し当てる。
やったーと叫びたい衝動を懸命にこらえて私はポケットから携帯を取り出した。
(先生、私やったよ―――)
佐々倉ゆう、
二学期期末試験順位番号―――
3。
「約束したよね? 私の約束、覚えてるよね?」
「し、したわ確かに……。だけど、どうしてもやめなきゃいけないの? これからも通い続ければ次こそ1番を取れるかも知れないのよ?」
「覚えてるのね。だったら明日、退会手続きに行くから準備しておいてよ」
「ゆ、ゆう……だからあのね」
「それじゃ私、疲れたから夕飯まで部屋にいるから。出来たら呼んでね!」
母親の言うことをまるで聞かず私は階段を上がった。
制服にシワがつくことも厭わずベッドに寝転がり、配布された通信簿を眺める。
誇らしく輝く一桁の数字についつい頬がゆるんでしまう―――けれど、いまは大目に見ることにする。
だって、紛れもなくこれはがんばった成果なのだから。
いま、自分で自分を褒めずどこで褒めればいいのだ?
今日ぐらいだらしなくしたって、罰は当たらないだろう。
額に通信簿を押し当てる。
やったーと叫びたい衝動を懸命にこらえて私はポケットから携帯を取り出した。
(先生、私やったよ―――)
佐々倉ゆう、
二学期期末試験順位番号―――
3。