【短編】 ききたいこと

 いくら塾のSクラスに通っているとはいえ私の最高は所詮5位。
 上位を独占している優秀な生徒4人を、少なくとも2人は倒さなければならない過酷な戦いだということは、痛いほどわかっていた。

 中には同じSクラスに通う、そのクラスの中でも常に上位にのぼってくる者もいたから、達せる自信はひどく弱々しいものだった。正直言って、不安でいっぱいだった。 

 それは、母もわかっていたようで―――

 先ほどの反応を見る限り、どうやら彼女は私をひどく見くびっていたらしい。無理に決まっているとはなから決めつけていたようだった。

 だからこそ、いいわよと彼女にしてはめずらしく、頷いてくれたのだろう。


 だが。

 やはり愛は強しである。

 愛のパワーは底を知らない。


 私は有言実行した―――することが出来た。

< 39 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop