【短編】 ききたいこと
そして、
また明日、終業式でな―――と言い残して長里は去っていった。
残された私と先生。二人きり。他に人は一人もいなくて。
二人きり―――あらためて思い出して、鼓動が一気に速くなった。緊張が私を強ばらせる。
「―――3番じゃあ佐々倉は冬期講習は出ないんだな」
先生が思い出したようにぽつりと呟いた。
「は、はい……」
出来ることなら先生の講習を受けたかったけれど、この学校の冬期講習はテストの順位が下位三十名のみと定員が決まっている。
だからもちろん私が受けることは出来ない。
終業式が終われば、次先生と会えるのは来年。年明けの三学期。
そう思うととても辛い。すごく悲しくて、涙腺が刺激される。
先生の授業がないだけでもその日1日の学校生活は物足りない気分なのに、先生と廊下ですれ違うことさえ出来ないなんて―――
……冬休みって、残酷だな。