【短編】 ききたいこと

 短いはずなのに、ひどく長い気がする。
 去年までならうきうきと休みが待ち遠しくて仕方がなかったはずなのに、今年はいまからひどく憂鬱である。
 気が沈んで、沈んで、ため息が出そうだ。

「佐々倉は、冬休みはどうするんだ? 塾がなくなったら時間がいっぱいできるだろ」

 ……その質問に、先生と電話もしくはメールと答えるのは駄目でしょうか。

 友達と遊ぶのも、きっと楽しいだろう。
 時間の自由がきくようになって、久しぶりに映画に行ったり思いきりショッピングを楽しむのもいいかもしれない。

 けれど、そのどれをしていても、私はきっと満たされてはいないのだろう。

 もどかしい想いと、胸中を吹きすさぶ寒風で、心から楽しんでいられることなど出来はしないだろう。

 待ち望んだ自由が訪れても、そこに寄り添って欲しいと望むものがなければ結局のところ、満足は出来ないのだ。

 人間は欲の塊だな、とつくづく思う。

 ―――でも、そこを我慢しなければ先生にふさわしい女にはなれない。

(……好きって、辛いな)

 



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