【短編】 ききたいこと
先生は、囁くように言った。
「いつでも」
それだけ言い置いて、先生は踵を返した。
そのとき、
自分でも驚くくらい鼓動は安定していて、私は触れられた額を押さえたまま呆然と小さくなる先生の後ろ姿を見送っていた。
(せんせい……)
今はまだ―――
メールをしてもいいかとも訊けない。
先生と生徒から、友達になることすら叶わない。
好きと言えるまでまだまだ先は長く道は遠く険しいけれど、
私の想いは途絶えることはないのだから。
このまま先生を好きでいたらいつか、私が先生の隣にいる未来も見られるだろうか。
私は首をふった。
ううん。ちがう。
見られるだろうか、ではなく、見るのだ。
私はその未来に、地に足を着いて立っているのだ。
きっと………!
「先生、好き」