【短編】 ききたいこと

 寒くなどないのに、小刻みに震える手でノートを引っ張り出す。
 裏表紙を開くと、そこにはちゃんと先生の携帯番号が、あった。

 私は無意識のうちにカーディガンのポケットから携帯電話を取り出していた。
 そのまま、電話帳を開いて、何度も押し間違いを繰り返しながらも、なんとか登録画面までたどり着いた。


「登録しました」


 感情の一切無い、機械の文字が消える。画面が暗くなって―――真っ黒になった。

 と同時に、まといついていた恐怖にも似た張り詰めたものが一気に崩れるのを感じた。
 私はそのままベッドに倒れ込んだ。
 ひどく疲れている。


(―――やって、しまった……)

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