恋を知った日



「ねぇ…あなたは、なんで悪魔になったの?」



病室に戻ったあと、私は悪魔に聞いてみた。



「昔、自殺したんだ。」



「え…?」



「だから、俺も昔は人間だったんだよ。本当、頭わりーな」
彼はフッと笑う。
「あと、『あなた』じゃなくて、『クラン』だから。」
付け加えるように言った。



「あ…クランは自殺したから悪魔になったの?」



「自ら、命を捨てたからね。その代償だよ。」



クランは懐かしむように窓の外を見つめた。



「さぁ、もう寝ろ。」



クランの言葉に不安そうな顔をした私に、


「大丈夫、お前が死ぬまでは隣にいるから…」



「おやすみ…柚羽…」



クランに頭を撫でられ、彼の優しい声を最後に私は眠りについた。



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