三日月
学校が終わると、私はすぐに『中村総合病院』へ向かった。


―――瀬知は今ここで入院している。


頭を強く打った時に脳に影響を及ぼしたらしい。



「瀬知・・・具合どう?」

「大丈夫だよ。今のところは・・・。」

「ごめんね・・・。私が学校に来なければ・・・。」

「その話はいいって。」

「今日クリスマス・イブなのに雪降らないね。」

「この日に決まって雪が降るわけではないだろ・・・。
あ・・・これ・・・。」


瀬知はそういうと、ベッドの横にある小さな紙袋を指差した。

「これが・・・どうしたの?」

私が訊くと、瀬知はその日初めての笑顔を私に見せた。

< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop