三日月
医者の後をついていくと、いつの間にか瀬知の病室の中に入っていた。

――その場に瀬知はいなかった。

・・・壁が赤い・・・私がさっきいた時はこんなのなかった・・・




まさか・・・




医者が何かを取り出して言った。




「あなたが帰られた後、このナイフで自分の手首を切って自殺なさいました・・・。私たちには何もできませんでした・・・。瀬知君のお母さんがここに来て初めて分かったんです。

本当に申し訳ありませんでした・・・」




私は自分の耳を疑った。



あの瀬知が自殺したなんて、信じられなかった。


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