三日月
父親はロープを手に持って、私の首をつかもうと手をのばしてきた。





この時はすごく怖かった。


私は家中を逃げ回った。

父親は私を追いかけている。


私はつかまらないように頭を使いながらひたすら逃げ続けた。
 

しかし父親は足が速かった。
昔陸上部だったらしい・・・。



とうとう私の体力も限界になって父親の腕が目の前まできた時、


――ピンポーン――


宅配便だ。

それは私にとって唯一の助け船だった。


「くそ、こんな時に。邪魔なんだよ。」

父親はぶつぶつ言いながら玄関の方へ歩いていった。



――私の家では毎日こんなことが起こっていた。


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