love songs.


暗い静かな部屋の中に、ぽた、という音が響いた。


その音の正体に気づかないでいられるほど、あたしは鈍くない。


握りしめたケータイが、ギ…、と泣く。


もう、こんなもの、なくなっちゃえ。


こんなものがあるから、あたしはこんな気持ちになるんだもん。


こんな想いを抱えたくて、彼を好きになったんじゃないのに。


こんな気持ちになるために、彼と付き合ったわけじゃないのに。


こんな風にひとりで抱えきれない想いを持て余すために、彼の隣にいたわけじゃないのに。


こんなもの、ほんとになくなっちゃえばいいんだ。


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