i want,
はしゃぐ女の子達。
友達同士手に持つのは、お揃いのキーホルダー。
あの色とりどりのポーチが、脳裏を駆け巡る様に蘇る。
みど達のことだから、きっとお揃いの何かは買ってるはずだ。
修学旅行の思い出を形あるものに残すことに、憧れと同時に儚さも覚えた。
形あるものはいつか消える。
思いと形と。
最後まで残るのは、どっちだろう。
…不意にイヤホンを抜かれ、途切れた音楽の代わりに無声映画のざわめきが戻ってきた。
思わず隣を見ると、そこにはあたしから奪ったイヤホンをつける垣枝が。
「…何の曲じゃ?」
無遠慮に隣に腰かけて眉間にしわを寄せる。
「知らん洋楽。返してよ」
「何で知らんの聞きよんけぇや」
「近所のお姉ちゃんがくれたん」
「ふーん」
全く返してくれる気配を見せないので、あたしは軽くため息をついて電源を切った。
「あ、切るねぇや」
「垣枝が返してくれんけぇじゃろ」
「しょーがねぇなぁ」、何で彼が偉そうにするのか全くもってわからないけれど、垣枝は渋々イヤホンをあたしの鞄に突っ込んだ。