i want,
「あ、垣もおるじゃ!」
アイスを買いに行ったさと達が戻って来た。
あたしの隣の垣枝を見つけて、思い切り手を振る。
あたしは咄嗟に、ペンギンのぬいぐるみを鞄に仕舞った。
「あっこのアイス、めっちゃ美味しいけぇ!」
「まじけー?ほしたら買いに行こかね」
垣枝も叫び返して立ち上がる。
振り向いて、あたしに言った。
「あおも行こや」
その笑顔はやっぱりどこか見下ろしたものだったけど、それがとても心地いい。
「うんっ」
不変なんかないんだ。
心の中ではわかってるけど、でもあたしは、願わずにはいられなかった。
…垣枝と、ずっと一緒にいられますように。
ずっとこの笑顔を、見ていられますように。
ずっと。
…あの日のペンギンは、今でもあたしの部屋にいる。
あたし達の軌跡を、ずっと見つめてきた。
いくら黒ずんでいても、部屋に似つかわしくなくても、あたしは多分、一生離したりしないだろう。
そして一生、忘れることはないだろう。
…ヒカル。
ヒカルは今、ちゃんと笑ってる?