i want,
『じゃけぇさ、心配しんで。あたしは大丈夫じゃけ』
…多分真依は、あたしのことを心配していた。
真依がいなかったら、あたしは今以上に1人になる。
誰よりもそれは、真依がわかっていた。
でも、真依に心配をかけたくない。
知らない土地に行って、一番不安なのは真依だ。
だからあたしは泣かない。
絶対泣かない。
『…うん』
泣きそうなのは真依だった。
そんな真依の肩を叩いて、明るく言う。
『それにさ、おじちゃんしばらくこっちなんじゃろ?休みの時とか、帰ってこれるじゃ!』
『…うん。絶対帰ってくる!』
『ねっ!お土産期待しちょるしっ』
『あおはちゃっかりしちょるけぇ』
ようやく真依に笑顔が戻って、あたしは小さく安心した。
と同時に、心を覆う影が侵食しない様にブレーキをかける。
明るく振る舞うことで、それを必死に振り切った。
…真依が、いなくなる。