i want,
その一言に、あたしは思わず顔を上げた。
目の前で、涙目の真依があたしを見つめていた。
「ごめんね、あお」
「…何が?」
「あたし…あおに、何もしてあげれんかった」
涙はどんどん量を増し、それは今にも溢れそうで。
「あおがみど達とうまくいってなくて辛い思いしちょるんわかっちょったのに、あたし何もできんかった。いっつもあおを1人にしちょった」
「そんなことな…」
「あたしはいつも、自分を守っちょった」
否定しようとしたあたしを真依が遮った。
あたしの動きが止まる。
「もしあからさまにあおの味方したら、もしかしたらあたしも色々言われるかもしれん。仲間外れされるかもしれん。そう思うと…怖くて動けんかった。そのくせあおの味方の立場におって…どっちにもいい顔しよった。最悪じゃよ。でも…」
真依の顔が歪んだ。
同時に、ギリギリだった涙がとうとう溢れ出した。
「あたし…あおが好きじゃけぇ、好きじゃけぇ…無視とか絶対、できんかった。あおとは友達でおりたかった。こんなことで…友達じゃなくなるとか、絶対嫌じゃったんよ…」