i want,
…泣くだけ泣いたあたし達は、しばらくぼんやりと庭のベンチに腰かけていた。
雲がゆっくりと空を横切る。その隙間から、時々青空が顔を出した。
「あれー?真依はー?」
広間から真依を探す声が聞こえた。そろそろお開きの時間なのかもしれない。
「…行こっか」
あたしは立ち上がった。
真依も倣って立ち上がる。
「あお」
後ろで真依が呼んだ。
あたしはゆっくりと振り返る。
もう二人とも泣いてなかった。
大丈夫。もう泣かない。
「あたしはずっと、あおの味方じゃけぇ。それだけは…覚えちょってね」
真依の笑顔は輝いていた。
あたしも心からの笑顔で頷く。
…真依は遠くに行く。
今までみたいに、毎日会うこともない。一緒に買い物に行ったり、笑いあったり、泣きあったり、もう簡単にできない。
でも大丈夫だと思った。
素直な真依の気持ちが、あたしの曇った心を徐々にクリアにしてくれたから。
『あおの味方じゃけぇ』
一人じゃない。
そう思えることが、あたしを強くする。
あたしを、変えさせる。
…卒業しなきゃ。
自分の気持ちから、逃げてたあたしから。
あたしはもう、逃げない。