i want,



……………

さっきまで二人でいた庭に、あたしは一人でいた。

弱い自分。誤魔化してきた自分から卒業するために。

目を閉じて深呼吸をした。
久しぶりに緊張している自分がいる。

自分に素直になるのは、簡単な様でいて本当に難しい。


…不意に足音がした。
あたしは目を開けて、ゆっくり振り向く。

いつぶりだろう。
こうして二人、きちんと目を合わせるのは。




「…何?話って」


ニコリともしないまま、みどは単調に呟いた。
あたしもまた笑うことなく、きちんとみどの方を向く。


二人とも変わったと思う。
仲のよかった頃より背も伸びたし髪型も変わった。

そして多分、お互いの気持ちも。


「…あたし、みどに話さんにゃいけんことがある」

遠くで皆の笑い声が聞こえた。それはまるで、全く違う世界の話の様で。

一呼吸置いて、あたしはゆっくりと言った。



「あたし、垣枝が好き」



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