i want,
…垣枝を好きだと、初めて言葉にした。
真依にも言わなかった言葉。自分でさえ持て余しているこの気持ち。
でも、みどにはちゃんと言いたかった。
みどが垣枝を好きだとか、そういうのは関係ない。
みどはあたしに言ってくれたから。
だからあたしも、言いたかった。
みどは黙って俯いた。沈黙がゆっくり二人の間に流れる。
先に口を開いたのは、みどだった。
「…話ってそれだけ?」
「だったらもう行くけぇ」、そう言って踵を返すみど。
確かにあたしが言いたかったことはそれだけだ。
でも。
『あお、おはよっ!』
『まぁた遅刻?あおらしいわぁ』
『じゃあ、また明日ねっ!』
『あおっ!』
「…っ、みどっ!」
あたしの叫び声に、みどが立ち止まる。
振り向かない背中に、あたしは精一杯叫んだ。
「確かに…確かにあたしは垣枝を好きになったけど、でも…でも、みどとこんなんになりたくて好きになったわけじゃないけぇ!そんなんじゃないけぇねっ!」
沢山遊んだ。
沢山笑ったし、けんかだってした。
みどとの思い出は沢山あった。
あたしは決して、こんな二人を望んでいたわけじゃない。