i want,
第二章
中学生
……………
自分の膝上で揺れているスカートが、何だかとても居心地が悪かった。
「うそ…また誠と同じクラス?」
首を思い切り伸ばしてそう呟いた有希の胸元で、深紅のリボンが可愛らしく跳ねる。
あたしもクラス割りを見ながら、有希と誠の名前が同じ枠にあるのを確認した。
「もう運命なんじゃない?」
「そんな運命嫌じゃし!」
「中学生になったら、絶対かっこいい彼氏つくるって決めちょったんじゃけぇ」、そう意気込む有希を見ながら、幼い頃から有希に想いを寄せている誠に向かって静かに合掌した。
桜の花びらが青い空に対照的に浮かぶ。
制服に着られている幼さを残した顔が、あちらこちらで笑っていた。
知らない顔。
知らない校舎。
知らない世界。
ランドセルを脱ぎ捨てた先にあったのは、未知数で満ち溢れた中学校だった。