i want,
「あおちゃん何組?」
「2組だって」
「え~、校舎も違うじゃあ。最悪っ」
一年生の校舎は一階。1組から4組までが西側の校舎で、渡り廊下を挟んだ東側に5組から7組がある。7組の有希とは、勿論教室は離れていた。
7組。3クラスしかなかった小学校に比べて、その規模はその数字で簡単に想像がつく。
緊張なのか不安なのかわからない気持ちを抱えながら、下駄箱に向かった。
「あーおーいーっ!」
不意に降ってきた声。
びっくりして思わずつんのめりになった。
続いて「ゆーきーっ」と同じ声が降ってくる。
瞬間、周りの視線があたし達とその声の方に別れた。あたしは声のする方に視線を向ける。
下駄箱の近くの渡り廊下。
三階から覗くのは、よく知った顔だった。
「祐ちゃん!」
有希が彼の名前を叫ぶ。呼ばれた祐ちゃんは、にかっと八重歯を出して笑った。
「お前ら何組け?」
「7組!あおちゃんは2組じゃよ」
「ほーけ!有希、誠とまぁた同じクラスじゃあ」
「そうっちゃ!もう最悪じゃろ!?」
可愛らしい有希の声が昇降口に響く。低い祐ちゃんの笑い声が、それに重なった。