i want,
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まさか自分が一番初めに向かう教室が三年生のクラスだなんて思いもしなかった。
周りにいるのはさっきまでの新入生とは違い、貫禄たっぷりの最高学年。
言ってしまえば2歳しか違わない。なのにどうして、こんなに大人に見えるのだろう。
適度に視線を集めながら、あたしは4組と書かれた教室を探した。
「おー、あお!来たけ」
そっと開けた教室の真ん中から、祐ちゃんの声が響いた。ざわついている教室の視線が一気に向けられる。一瞬、来てしまったことを後悔した。
「入り入り!有希はどうしたんけ?」
「あおいー!制服じゃあ!」
「誰誰?祐の妹?」
入り口で立ち往生していたあたしを大ちゃんが引っ張る。大ちゃんも勿論、あたし達の幼なじみだ。
「有希自分の教室行ったよ。よろしく伝えちょいてって」
「なんけぇー。まぁあおが来たけぇいいわ。おー似合っちょる似合っちょる!」
肩下まで伸びたあたしの髪をくしゃくしゃっと撫でる祐ちゃん。その横に座っていた女の先輩が、あたしに話しかけてきた。