i want,

……………

予想外にエリカ先輩達との話が弾んでしまい、気付けばホームルームの時間だった。

既に遅刻は決定だから、敢えて急ぐことはしなかった。こういうところは、昔からちっとも変わっていない。

静まり返った一年の教室の廊下。あたしは小学生の時によくやっていた様に、教室のドアをゆっくりと開けた。

「失礼しまーす…」
「なんけ、遅刻かぁ？」

あたしの声に被さる様に、ジャージ姿の担任の先生が教室に響く。
一応遅刻した身なので丁寧に入ったが、先生は出席簿であたしの頭を軽くはたいた。
教室中の視線が集まる。

ちらっと教室を見渡したが、知っている顔はほとんどなかった。初めて見るクラスメイト。これから一年間彼らと同じ空気を吸うという現実が、なんだかおかしかった。

「まぁええわ。お前は…矢槙じゃな。もう一人は…」
「遅刻しましたぁっ！」