i want,
先生があたしをはたいた出席簿を開いた瞬間、さっきあたしが丁寧に開けたドアが無遠慮にガラッと開いた。
あたしの時より素早くみんなの視線が動く。
教室のドアの前で軽く息を整える女の子。
長い栗色の髪は2つにくくられていて、毛先がぴょこんとはねている。高い位置で結ばれたセーラー服のリボンと、あたしのスカートよりも幾分か短いスカートが同時に揺れた。
くるりとした大きな瞳が、一瞬あたしの視線と合わさった。
「…ようやくクラスが揃ったわ。西崎じゃの?」
先生はため息をついて、さっきあたしにした様に『西崎』と呼んだ彼女の頭をはたく。多少大袈裟に肩をすくめてみせた彼女は、笑いながら謝った。
「ほら、お前らはよ座れ。入学式の説明するけぇ」
先生が大雑把にあたし達の背中を押し、ふたり同時によろけながら教室の輪の中に入る。
今度はしっかりと、その大きな瞳と目が合った。
一瞬くるりとその瞳が揺れ、そしてニコッと微笑む。
つられてあたしもヘラッと笑う。
席につく瞬間、彼女のツインテールが綺麗に揺れた。