i want,
気付けば桜の花は散り終えて、着られていた制服も着こなせる様になってきた。
ぎこちなかった学校の雰囲気もなくなり、もう新しい世界が徐々に確立されている。
入学式の日に綾と仲良くなり、綾の友達の香緒と由利とも仲良くなった。香緒と由利は4組でクラスは違ったけど、3組と4組の間にあるこの階段でいつも集まっている。
綾もそうだが、香緒も由利もさばさばしていて、一緒にいて楽だった。趣味も近いものがあり、話していて変に気を使うこともない。
あたしの世界もまた、確実に変わろうとしていた。
「おっ、あおじゃーや!」
いきなり呼ばれて振り向くと、渡り廊下にさと達が見えた。
あたしは笑って片手をあげる。
「さとー!なんか久しぶりじゃー?」
「あお2組なんじゃろ?俺7組じゃけぇ校舎違うわぁ」
よく考えたら、学校の中でさと達に会うのは初めてだった。一人前に制服を着崩しているさとが、なんだかおかしい。
みんなはあたしが座ってる階段の下まで来て、「あおがセーラー着ちょるわ」と笑った。
「うっさいわ!え、卓也も福山も同じクラスなん?」
さとの隣には卓也と福山もいる。卓也は背が伸びたみたいで、もうさとと同じくらいはあった。
「亮太は6組じゃ。垣が4組でそっちの校舎じゃろ」