i want,
「なになに、あおの友達?」
由利のグロスを借りていた綾が聞いてきた。ほんのり桃の香りがする。
「うん、小学が同じで、ずっと仲良かったんよ」
「へ~!綾あの短髪の子タイプかも!紹介してっ」
「え、さと?あいつうるさいよ?」
新しい友達が昔からの友達に興味を持つことが、なんだか恥ずかしい様なこそばい様な気持ちだった。こうやって世界は広がっていくのだと感じる。一つの木が、枝分かれしていくかの様に。
いつか枝が重くなりすぎた時、あたしはそれを切り落とすのだろうか。
「あの子、あたしと同じクラスだ」
突然降ってきた声に驚き、あたしは思い切り振り向いた。
ちょうど階段から降りてきた女の子が綾の隣に座る。香ったのは、多分アナスイ。
何よりも目を引いたのは、彼女の金色としか表現できない髪の毛だった。
「あっ、みはじゃーん!おはよっ」
金髪の彼女と親しげに話すのは綾だけじゃなかった。香緒も由利も顔見知りらしく、彼女を『みは』と呼び挨拶を交わしている。
あたしは彼女を知らなかったので、その輪に入れずにいた。
「あの子って?綾のタイプの人?」
「いや、一番後ろにいた男の子。あたしの隣の席の子じゃよ」