i want,

「うわ、ちょーうらやましい!」
「エリカ先輩すっごいかっこいいもんね!」

さやこと同時に知り合った悠奈や亜樹も羨望の声をあげる。彼女達を合わせて総勢8人が、今のあたし達の『グループ』だ。

美晴がジャージに手を伸ばし、広げて掲げる。

「いいなぁ、あおい。エリカ先輩は、あたしの憧れじゃけぇ」

ジャージを見ながら呟く美晴に、あたしは正直驚いた。
一年の中では唯一無二の存在にも思える美晴。彼女の口から誰かを羨む言葉が出ることにかなり違和感があった。

それだけ美晴の存在感は圧倒的で、エリカ先輩の存在感は、絶対的なのだ。


そんなあたし達の頭上に予鈴が鳴り響く。

「昼休み終了ー」と残念がる綾の声で、あたし達は渋々立ち上がった。

「2組って今日数学あった?」
「あったよ」
「教科書貸して!」

そう言うのは香緒と由利。相変わらずこの二人は抜けている。

香緒と由利を残し、美晴達四人とは階段の下で別れた。あたしと綾以外は、みんな4組なのだ。
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