i want,
「ほら、やっぱ俺のが白いが」
「うっ、うっさいなぁ!仕方ないじゃろ!?あいだけ暑い中走りよるんじゃけ!」
「ほうけほうけ」と笑う垣枝。その笑い声が、なんだかムカつく。
あたしだけ、意識してるみたいで。
「そういや、」
不意に垣枝が話を変えた。
「神野から聞いたけ?」
「何を?」
「夏休みの話」
「夏休み?」、オウム返しするあたしに、垣枝は「聞いてないんけ」と続けた。
「同窓会やるらしいで」
「え?」
「なんか、神野達が勝手に話進めてたみたいでな、大川先生に話つけたんじゃて」
先生も来るんだ、小さく呟いて、なんだか懐かしい気分になる。
卒業してからまだ数ヶ月しかたってないのに、もう随分昔のことみたいだ。
それだけ環境が、目まぐるしく変わったということなんだろうけど。
「それが凄いんじゃて」
「え?何が?」
少し前屈みになってあたしの視線と合わせる垣枝。
その笑顔に胸が苦しくて、顔が赤くなりそうで、夕焼けが隠してくれることを小さく願う。
そんなあたしを知ってか知らないでか、垣枝は平然としたまま言った。
「なんと、学校に泊まれるらしいで」
「…は?」