i want,
…さと達が企画した同窓会。
夏休みに入ってすぐの7月下旬を設定したのは、宿題の心配がまだいらない時期だからだろう。
集合場所は小学校の体育館。
あたしが行った時には既にみんな集まっていて、中心では卓也達がバスケットボールではしゃいでいた。
体育館の隅では女子が固まっているのが見える。あたしを見ながら何か言っている様だったが、気にすることなく卓也達の方へ向かった。
「バカっぽいよ、その髪」
卓也が投げてきたボールと共に聞こえたのは、久しぶりに聞く馬鹿にした声。
コートの中であぐらをかく彼に向かって、あたしは卓也からのボールを投げた。
上手いことキャッチした彼は、あたしを見上げてニヤッと笑う。その顔はやっぱり、どこか垣枝に似ている様に思う。
あたしも同じように笑い、久しぶりにその名前を口にした。
「久しぶりじゃん、田口」
…頭のよかった田口は、中学受験で付属中学へと入学した。
卒業してから会うのは今日が初めてだったけど、その憎たらしさは相変わらずらしい。
ただ立ち上がった時に、以前は下だった頭の位置があたしよりも上にあったことには驚いたけど。
成長しているのは、垣枝だけじゃないみたいだ。