i want,
「おかえりー!」
「おい、荷物運べ運べ!」
「くっそ重かったわ!」
垣枝も文句を言いながらさとに続き、後からみど達がキャハハっと甲高い声で降りてきた。
不意にあたしの足が止まる。止めたのは、垣枝でもみど達でもない。
一番最後に降りてきた長い足。短い髪も、高い背も、あの頃と何一つ変わっていない。
あたしは目を見開いたまま、呆然と彼女の名前を呼んだ。
「真…依?」
あたしの声に真依が顔を上げ、そしてあの頃と何一つ変わらない笑顔を向けた。
「あおっ!」
軽やかに車から飛び降りて、そのままあたしに飛び付く。
「あおーっ!どしたのその髪っ」
「え…真依?え、何で何で!?」
混乱するあたしの顔を見て、相変わらず綺麗な笑顔で言った。
「神ちゃんから同窓会するっち聞いたんよ。お母さんにわがまま言って来ちゃった!」
「うそ…ちょ、言ってよーっ!」
「あははっ、ごめんごめんっ!驚かそうと思ってさぁ。お父さんの仕事の都合で泊まりは無理だけど、夕方まではいれるしっ!」
「それまで遊ぼうねっ!」、そう言ってあたしの髪をくしゃくしゃっと撫でる真依に、正直泣きそうになった。
それを悟られない様にあたしも真依の髪を乱暴に撫でて、「もうバカーッ」と叫ぶ。