i want,

視界の端で、さとがニヤッと笑った。
悔しいけど、このドッキリは今までで一番嬉しい。

口パクで『バーカ』と言ってみたものの、本心では感謝した。


「真依ー!」

再会を喜んでいると、体育館の入り口でみど達が真依を呼んだ。男子が荷物を運んでくれたらしく、既に体育館にみんな集まっている。

「行こっか」、真依の一言で、あたし達は体育館へと足を向けた。

「神ちゃんから聞いたよ」
「え?」
「あお、中学校で楽しくやっちょるって。新しい友達もできたんじゃろ?」
「うん」

さとが真依にそんなことまで話してたなんて、正直驚いた。何だかんだ言いながら、さともまた、小学生の頃の女子の関係をわかっていたのだろう。

「よかった。安心した!」

満面の笑顔の真依に、あたしも素直に「ありがと」と言う。

あたしに強さがあるのなら、それは真依がくれた言葉があるからだと、真依はわかっていただろうか。

真依だけは絶対に味方でいてくれる。それがあたしの心を、根底で支えていた。

恥ずかしくて、そこまでは素直に言えなかったけど。

少なからず今日に対して抱えていた不安が、真依が来てくれたことで一気に消えていくのを感じていた。










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