i want,

二回目でようやく、その意味がわかった。

言葉よりもっと確かな、垣枝の瞳。
それがあたしに、伝わる。

瞬きを忘れたまま、あたしは言った。

「あたし…垣枝が欲しい」

言ったと同時に、頬に冷たいものを感じる。
涙だとわかったのは、いつだっただろう。


「欲しかったんだよ、ずっと」


…ずっと、あたしを救ってくれたのは垣枝だった。

孤独から連れ出してくれたのは垣枝だった。

初めて感じる息の詰まる想いを教えてくれたのも、垣枝だった。


垣枝は、あたしの欲しいものを全て持ってると、垣枝さえいれば何一ついらないと、信じて疑わなかった。

今、確かに。


そっと垣枝が近付く。

今までで一番、垣枝が近くにいる。

でも足りない。足りないよ、垣枝。

もっと近くにいたい。

垣枝の瞳はあたしだけ見てればいい。
あたしの瞳は垣枝だけ見えればいい。

他は何も見えなければいい。


その視線は、全てあたしに。



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