i want,
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三階の廊下は普段下級生は通れないけど、東側の渡り廊下だけは違った。三階の東側は、特別教室が並んでいるから。みんな自由に堂々と渡る。
残暑は続いていた。きゅっきゅっと上履きを鳴らしながら、染め直した髪を無造作にまとめる。後れ毛に汗が伝い、ポタッと上履きに染みを作る。
渡り廊下からは校門が見えた。下校途中の生徒の声の代わりに、見えないグラウンドからの野球部の掛け声が聞こえる。気に止めるわけでもなく、渡り廊下の先へと急いだ。
「遅刻じゃ」
「ホームルーム長引いたんじゃもん」
「寝よったわ」
「こんな暑い中?」
渡り廊下の端に座るヒカルの隣に、あたしもよっと座った。ヒカルの香水の香りが強くなった。
「部活は?」
「サボり」
「あーあ。知らんよー」
「そりゃ俺の台詞じゃ」
断りもなくあたしが持ってきたビニール袋に手を伸ばし、汗をかいたカフェオレを手にとった。「あ、あたしの」「今カフェオレな気分」「ちぇ」。仕方なくココアに手を伸ばす。