i want,
綾のこんなに険しい声を初めて聞く。
ただ呆然とその紙を見つめながら、そんな客観的なことばかりを考えていた。
『あんたの彼氏、女子高生と浮気してる。
むしろ、そっちが本気であんたが浮気。
御愁傷様。』
客観的だった。何もかも。
この紙に印刷されてある、ゴシック体の文字の羅列も。
…時計の針が回る。
一周回り、二周回り、同じことを繰り返している様で、その実一周一周が違う。
変化は刻々と訪れる。
その度に真実に近付いていたことを、多分この時のあたしはまだ知らない。
真実は、時として残酷だ。
それが怖くて、あたしはただ、不変を願っていた。
針が止まってしまうことを。
ヒカルがあたしの側で笑ってる、その瞬間に。