i want,


「多分、あおいの知っちょる奴が犯人やよ」

そんなあたしに、美晴はきっぱりと言った。
綾が不思議そうに「何で?」と訊く。

「見てみぃね、これ。何でわざわざパソコンで書いてプリントアウトしちょるんやと思う?」

美晴は綾の方にその紙を向ける。整列されたゴシック体が、綾の目に映る。

「あおいに自分の筆跡がばれたくないから。つまり、あおいが知っちょるってことやろ。犯人の筆跡を」

「筆跡を知られちょるくらいやから、よく知った奴なんよ」、美晴の言うことは、的を得ていた。

そしてそれは、あたしの中にある疑惑を更に大きくさせた。

「…少し、考えてみる」

俯いたままそう呟く。みんなも犯人を探してくれると言ってくれた。

心強かった。
でも同時に、見つかって欲しくないとも思った。

過去がまだ続いていることを、知りたくなかったから。











< 229 / 435 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop