i want,


……………

「ただの暇人っちゃ、こんなんするの」

新しく入っていた例の紙を自分のコートのポッケに突っ込みながら、鼻息荒く綾は言った。

「気にすることないよ、あお」
「うん、大丈夫」

中身を見る前に綾がポッケに入れてしまったから内容はわからないが、いつもと同じ様な文面だったのだろう。
下駄箱から靴を取りだし、パタンと床に置いた。

一通目のあの紙以来、あたしの下駄箱には度々同じ様な紙が入っていた。
内容は変わらない、陳腐なものばかり。その内容に対して傷付くことはなかったが、見えない敵は、少なからずあたしに負担を与えていた。


「あーでもホントにムカつくっ!大体やり方が陰険すぎるんよ」
「綾実がキレてどうするんよ」
「だって神ちゃん、ムカつかんの!?喧嘩売るなら正々堂々来ればいいのにっ!」

「喧嘩って」、ため息混じりに苦笑し、さとが呟いく。
その横であたしも方眉を下げ、小さく笑った。
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