i want,
……………
肌を突き刺す様な寒さも、今は何一つ気にならない。
あたしは無我夢中でヒカルの背中を追いかけた。
「ヒカルっ!!」
渡り廊下に差し掛かった時、ようやくその背中を捉える。あたしは思い切りその名前を叫んだ。
ヒカルの足が止まる。
息を整えることもせずに、あたしは彼に駆け寄った。
「ヒカル…」
側に寄り、立ち止まる。
二人の間には狭い空間。その空気が、冷たくて苦しい。
ヒカルがゆっくりと振り返った。心臓が痛い程に鳴る。
真っ直ぐにあたしを見据える。その瞳は、冬の空気と同じ。
「…何?」
冷たい。
「…今まで、何してたん?」
震える声で、あたしは訊いた。ヒカルはあたしから目を逸らさずに答える。
「特に何もしてないわ。街行ったり、色々」
「色々って…」
「あおは?どうしちょったん?」
ヒカルの声は、嫌になる程冷静だった。頭の中がぐるぐる回る。本当にずっと会いたかったヒカルが目の前にいるのかすら、正確に判断できない。
そんなあたしの手の先に、ヒカルの視線が動いた。滞ったあたしの思考じゃ、判断が鈍る。