i want,
ヒカルは瞬時に、あたしの手に握られていたあの手紙を取った。

「あ…っ」と呟いたが、もう遅い。ヒカルの冷たい視線が白い紙に走る。

「…なんじゃ、これ」

ヒカルの呟きにあたしは俯いた。その瞳を見るのが、怖かった。

しばらく続く沈黙。雪がバサッと音をたてて落ちる。

何か言って欲しい。でも言われるのが怖い。

多分ヒカルは、全てを見透かしているから。

俯いたままのあたしの耳に、くしゃっという乾いた音が響いた。次いで届いたのは、ヒカルの声。

「…なるほどね、」

冷たい、突き刺さる声。

あたしは顔を上げようとした。でもそれは、ヒカルの手に遮られる。

ヒカルの冷たい手のひらが、あたしの頭に置かれた。

冷たくて、涙が出そう。


「…大丈夫じゃけぇ」


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