i want,
「別に、わかって欲しいなんて思わん」
項垂れるあたしに、ヒカルが冷たく言った。
「あおと俺は世界が違う。感覚が違う。…ただそれだけじゃろ」
ヒカルの言葉ひとつひとつが、驚く程痛い。
凶器のようなそれは、あたしの胸に深く突き刺さる。
『世界が違う』
「あたしは…」
呟いて、消えた。
あたしの中から、言葉が。
…何を言っても、目の前のヒカルには届かない気がしたから。
「…お前ら、そこで何してる!」
場の空気を打ち破る様な先生の声が響いた。
「やべっ」、潤君達も我に返り、散り散りに駆け出す。
「おいっ、待て!」
「お前ら下高の奴らか!」
いつの間にか増えた先生達が、逃げる彼らを追って行った。
ヒカルは逃げることをせず、ただあたしに向かって小さく笑う。
「…あおは遠いわ」