i want,


……………

誰かが言ってた。

始まりには理由なんかないけど、終わらせるためには、必ず理由が必要になる、と。


始まりは明確だった。

ただ、ヒカルが欲しいという欲望。


じゃあ、終わりの理由はなんだろう。

何度考えても、明確な答えは出せなかった。


ただひとつ、たどり着いた答えは、不変なんかないってこと。


永遠を手に入れることなんか、できないってこと。




…「あお」

帰り支度を整えたあたしに、さとが声をかけてきた。

ずっと鼻をすすりマフラーを引き上げるさと。
そういえば卒業式の予行の時も、寒そうにしてた。

「風邪?馬鹿は風邪ひかんってのは嘘なんやね」
「うっせ。お前、もう帰るん?」
「うん。部活休みじゃし」

「綾は補修じゃしね」、そう言ってあたしもさとと同じように、マフラーを巻いた。

「もう放課後、行かんでいいん?」
「あぁ、うん。事情聴取は終わり」

そう言って鞄を肩にかけるあたしに、「事情聴取って」と、さとは苦笑した。

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