i want,
あの事件から数週間が過ぎた。

その場にいたあたしは、何度も生徒指導室に呼ばれることとなってしまった。

被害者はみどだったが、みどが洗いざらい全てを話した様で、あたしまで被害者にされていた。

別に被害者ぶるつもりはない。
それよりも早く、全てから解放されたかった。

先生達の粋な計らいで形だけみどとは仲直りしたが、あたしは許すつもりなんか微塵もない。

許す許さないじゃない。
ただあたしは、忘れたかった。


痛い記憶も。

何もかも。


…さとと別れて、あたしは1人下駄箱へと向かった。

渡り廊下を歩きながら、頬に冷たい結晶を感じる。

もうすぐ3月だというのに、雪はまだ止むことを知らない。

立ち止まりかけて、やめた。
止まってしまったら、動けなくなりそうだったから。

今あたしの中で止まってる、終わりへのカウントダウンの様に。

冬の空気は、痛い程あたしを締め付けた。














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