i want,

ずっとわからなかった。

始まりは明確だったのに、どうやったら終わりが来るのか。

今、田口が教えてくれた。

終わらせるためには、言葉が必要だった。

曖昧な気持ちで繋がってるあたし達には、壊れやすくても明確な、言葉が。


「…行くわ、」

「ココア、ありがと」、そう言って田口は立ち上がり、そのまま歩き出した。

ようやく顔を上げ、その背中に視線を送る。


田口の中では終わったかもしれない。
でもあたしは、何も返してない。

本当に終わらせるためには。


「…田口、」


背中が止まった。
あたしは立ち上がっていた。


「…ありがとう」

この言葉をどう捉えるかは、田口次第だ。でも田口は賢いから、きっとちゃんとわかってくれてる。

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